夕べは湯木貞一著「吉兆味ばなし」からヒントを得て和食にしました。この2巻からなる「吉兆味ばなし」は普通のレシピ本というよりは読み物として大層面白い本です。文章が話し言葉で書かれているので、まるで今は亡き湯木さんとお話しているような気分になります。
さて、この2巻目の中で、寒いときの食べ物として「うずみどうふ」が載っていました。ニュースでは、アメリカの東海岸も日本の東北・北陸地方でも雪とのことですが、ここ、サンディエゴでは12月の半ばというのが信じられないほどの暑さです。暖かいのを通り越して、暑いのです。午前10時現在の気温はなんと摂氏23度です。
それでもやはりもうすぐクリスマスなのですから、冬の食べ物が食べたくなりました。うずみどうふのほかに作ったものは柿と大根のなます、キンキの煮付け、ひらめの糸つくり。
柿と大根のなますは、柿を千切りにしてみりんに漬けておきます。大根とにんじんも白髪に切って酒と酢に漬けておきます。吉兆さんは半日漬けると書いてありますが、とてもそんな時間はなかったので、せいぜい30分くらいしか漬けませんでした。ゴマをいって、ていねいに油の出るまですり、大根や柿を漬けた酒、酢、みりんを加え、砂糖、しょうゆも入れてすり伸ばし、甘酸っぱいゴマ酢を作ります。そこへ大根、にんじん、柿の汁気を絞って入れ、混ぜ合わせます。最後にありあわせの青みを載せて出来上がり。
この柿と大根のなますはとても高級な味に仕上がりました。やはり、自分ですったゴマは香りが高くおいしくできます。
本当はアマダイを使いたかったのですが、夕べはニジヤさんにおいていなかったので、ひらめにしました。刺身用ひらめにきつめに塩をし、7分冷蔵庫に入れます。(大きさによって時間を加減して下さい。)酢で洗ってから、ペーパータオルで水分を拭き、削ぎ切りにしてから縦に細長く切ります。とろろ昆布とまぜて皿に盛り、横から二杯酢を注ぎます。
これもちょっとした料理屋さんのような品のある味に仕上がりました。
最近私はようやく魚の煮付けの味付けが分かってきたように思います。夕べのキンキの煮付けもおいしくできました。だし汁3カップに対して、しょうゆ、みりん各1カップ、そして砂糖大匙4です。これはキンキ4匹の煮汁ですから、魚の量によって煮汁の量は加減してください。魚を入れる前になめてみて、かなり甘辛くてよいことが分かったのです。そして、紙ぶた(私はアルミ箔を使います。)をして汁が大分減るまで煮込みます。
煮付けと柿なますに使った器はブルーバザーで先日買い求めたものです。かねがねこれ位の大きさの器が欲しかったので、とても嬉しいです。それにいつもと違う器だと気分も変わり料理もおいしく感じます。
うずみどうふはお茶人の考えた料理だそうで、温めたおわんに熱くした白味噌汁と豆腐を盛り、その上に炊き立てのご飯をのせて、ふきのとうを刻むか、ゆずをとめにのせて出すのだそうです。お豆腐はすくいどうふにします。すくいどうふとはおたまで、はしからすくい取るのです。お豆腐がご飯に隠れて見えないところから、うずみどうふと言う名前がついたそうです。
普通の汁椀で戴くもののようですが、私は欲張って沢山戴きたかったので、塗りのどんぶりにたっぷり汁を張りました。お豆腐をよそって、からしを落とし、その上にご飯をのせるのですが、ふきのとうはもちろんありませんが、ゆずも良いお値段でしたので、私はゆず胡椒を載せました。ピリッと辛いこのゆず胡椒はパンチが効いて、とてもあいました。かつお節でとったお出汁も香りよく、体も心もあったまるとてもおいしい汁ご飯でした。