母は料理が好きでした。そして上手でした。覚えている母の味は沢山あります。この「イカと大根と里芋の煮物」もその一つです。私は子供の頃からこれが好きでした。色々な料理本にも同じようなレシピが載っていますが、母のはイカの腑を入れます。腑はイカの塩辛に入れる内臓です。ですから新鮮なイカに限ります。腑を入れることによってとてもこっくりとした味になります。
私はこれを作る時はいつも台所で交わした母との会話を思い出します。
「味付けはどうするの?」
「水と醤油、それに砂糖も入れるのよ。」
「お酒は入れないの?」
「入れないの。でも入れたらもっとおいしいかもしれないわねぇ。」
何気ない母と娘の会話です。
私は今回お酒も入れました。そして、母がしていたようにイカの胴に足を詰め、姿のまま煮てから一旦取り出し、大根と里芋を落とし蓋をしてじっくり煮込みました。大根と里芋が煮えたら輪切りにしたイカをお鍋に戻し、温めます。
大根と里芋に味がしみて、とてもおいしく出来ました。少しは母の味に近づいたかな、と思います。