フレンチもイタリアンもタイも中華料理も全部おいしいのですが、何と言っても食べて心からほっとするのは和食です。子供の頃から慣れ親しんだ味というのは人の心と体の奥に沁みこんでいるのでしょう。
何十年も前に読んだのですが、神津カンナさんが書いたエッセーにこんなのがありました。彼女がニューヨークに住んでいたときのことです。友達と引越しをして、とても疲れてお腹もすいていたそうです。新しい部屋に皆で寝転んで、カンナさんはお茶漬けか何か日本のものが食べたいと思っていたとき、アメリカ人の友達は「あぁ、ピーナッツバターサンドイッチが食べたいな。」とつぶやいたというのです。
食べ物の嗜好はその人の生い立ちに深くかかわっている大事なものなのですね。
食べたい時にいつでも日本食が手に入る。外国に住んでいてこれはとてもありがたいことです。特に年をとってきてからは、私たちにとってとても大事なことになってきました。
夕べのご飯は和食。日本にいたらなんと言うこともない献立でしょうが、外国に住みながら、これだけのものが苦労せず手に入るのは本当に幸せなことです。
写真は上から順に、松茸の網焼き、まぐろの赤身のお刺身、しらす干のおろしあえ、空心菜のおひたし、さばの塩焼き。
外国に住んでいることを忘れてしまう味でした。